「相続関係説明図」の作り方|A4一枚で手続きがスムーズになる魔法の書類

はじめに:山積みの戸籍謄本を前に、途方に暮れていませんか?
相続手続きを進めるため、大変な思いをして集めた、束のように分厚い戸籍謄本。
これを手続きのたびに金融機関や法務局の窓口に提出し、担当者が一枚一枚読み解くのを待っていると、それだけで時間も気力も消耗してしまいますよね。
「この複雑な家族関係を、もっと一目で分かるようにできたら…」
そのお悩みを解決するのが、今回ご紹介する「相続関係説明図」です。
これは、亡くなられた方と相続人の関係を一枚の図にまとめた、いわば「相続の人物相関図」。
この記事では、このA4一枚の”魔法の書類”が持つ素晴らしいメリットと、誰でも作成できるよう、見本を交えた具体的な作り方をステップ・バイ・ステップで丁寧に解説いたします。
1. 「相続関係説明図」とは?なぜ”魔法の書類”なの?
相続関係説明図とは、亡くなられた方(被相続人)を中心に、誰が配偶者で、誰がお子様なのか、といった親族関係を図で示した家系図のようなものです。
これがなぜ”魔法の書類”と呼ばれるのか、それには2つの大きなメリットがあるからでございます。
メリット①:手続きの時間が劇的に短縮され、戸籍謄本が手元に戻ってくる!
相続関係説明図を、集めた戸籍謄本一式と共に法務局へ提出すると、登記官が内容を確認した後、戸籍謄本一式の原本をその場で返却してもらえます(これを「原本還付」といいます)。
戸籍謄本は、銀行や証券会社、税務署など、様々な場所で必要になります。原本が手元に戻ってくることで、一つの手続きが終わるのを待たずに、次の手続きを並行して進めることができるのです。これは、時間のかかる相続手続きにおいて、計り知れないメリットとなります。
メリット②:複雑な相続関係が一目瞭然になる
相続人の関係性を一枚の図にまとめることで、ご自身たちでも全体の状況を客観的に把握しやすくなります。
特に、前の配偶者との間にお子様がいる場合や、既にお亡くなりになっているお子様のお孫さんが相続人となる「代襲相続」が発生している場合など、複雑なケースほど、この図の作成が頭の整理に役立ちます。
2. 【実践編】相続関係説明図の作り方 5ステップ
それでは、具体的な作り方を見ていきましょう。手書きでも、パソコンのワードなどで作成しても、どちらでも構いません。
【準備するもの】
- 収集した戸籍謄本一式(出生から死亡まで全て)
- A4サイズの用紙
ステップ1:タイトルを付ける
用紙の上部中央に、以下のようにタイトルを記載します。
「被相続人 〇〇 〇〇 相続関係説明図」
(〇〇 〇〇には、亡くなられた方のお名前が入ります)
ステップ2:亡くなられた方(被相続人)の情報を記載する
図の中心となる、亡くなられた方の情報を記載します。
- 被相続人
- 氏名
- 最後の本籍
- 最後の住所
- 死亡年月日
ステップ3:相続人の情報を記載し、線で結ぶ
被相続人との関係性が分かるように、配偶者やお子様の情報を記載し、線でつないでいきます。
- 夫婦関係は二重線(=)で結びます。
- 親子関係は単線(―)で結びます。
- 各人の情報として「続柄」「氏名」「生年月日」を記載します。
- 実際に財産を相続する方には「(相続人)」と書き加えます。
- 既に亡くなっている方には「(平成〇年〇月〇日死亡)」のように記載します。
- 相続放棄をした方がいる場合は「(相続放棄)」と書き加えます。
ステップ4:財産を取得する人を明記する(任意)
遺産分割協議がまとまっている場合、「(不動産取得)」「(預貯金取得)」のように、誰がどの財-産を取得するのかを書き添えておくと、より分かりやすい書類になります。
ステップ5:作成年月日と作成者を記載する
図の末尾に、「上記のとおり相違ありません。」と一文を加え、この図を作成した年月日と、作成者(相続人のどなたか)の住所・氏名を記載し、認印を押印します。
3. 【記載例】これを見ればわかる!相続関係説明図の見本
最も一般的なケースを想定した見本です。

まとめ:面倒な戸籍収集から、専門家にお任せください
相続関係説明図の作成は、手順さえ分かれば、それほど難しい作業ではございません。
しかし、この図を作成するための大前提となる「出生から死亡までの戸籍謄本一式を、漏れなく正確に集める」という作業こそが、相続手続きにおける最大の難関とも言えます。
私たち「つなぐ山形相続センター」では、この最も時間と手間のかかる戸籍収集から、正確な相続関係説明図の作成、そしてその後の金融機関や法務局での手続きまでを、一括して代行させていただくことが可能です。
「戸籍集めの段階で、もう心が折れそうだ」
「自分のケースは複雑で、どう図にすればいいか分からない」
そう感じられたら、どうぞお一人で悩まず、私たち専門家にご相談ください。皆様のご負担を軽くし、相続手続きという長い道のりを、スムーズにゴールまでご案内いたします。




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