遺産分割協議がまとまらない…よくある原因と円満に解決するための5つの対処法

はじめに:ご家族との話し合いに、心を痛めていませんか?
大切なご家族を亡くされた深い悲しみに加え、相続人であるご兄弟やご親族との遺産分割の話し合いがうまくいかず、お辛い気持ちでお過ごしのことと存じます。
「なぜ、想いを分かってくれないのだろう」
「このままでは、家族の関係が壊れてしまうかもしれない…」
遺産分割協議は、単なる財産分割の話ではございません。そこには、ご家族一人ひとりの故人様への想いや、これまでの歴史、そして将来の生活への考えなど、お金だけでは測れない複雑な感情が絡み合っています。
意見が対立してしまうのは、決して珍しいことではありません。どうかご自身を責めないでください。
大切なのは、なぜ話し合いがまとまらないのか、その原因を冷静に見つめ、円満な解決に向けて一歩ずつ進んでいくことです。
この記事では、遺産分割協議が難航するよくある原因と、こじれてしまった状況を打開するための5つの具体的な対処法を、専門家の視点からご紹介します。
なぜ話し合いはまとまらない?よくある4つの原因
まずは、ご自身の状況がどれに当てはまるか、少し引いた視点から客観的に整理してみましょう。
原因1:特定の相続人による貢献への不満(寄与分の主張)
「私が長年、親の介護を一身に引き受けてきたのに、全く家に来なかった他の兄弟と同じ分け方なのは納得できない」というようなケースです。
故人の財産の維持・増加に貢献した方が、その分多く財産を受け取りたいと主張する「寄与分」に関する対立です。

原因2:特定の相続人が受けた援助への不満(特別受益の主張)
「兄は生前、家を建てる時に親から多額の援助を受けていた。それを考慮せずに同じように分けるのは不公平だ」というようなケースです。
特定の相続人が受けた生前贈与などを考慮すべきだとする「特別受益」に関する対立です。
原因3:不動産の評価や分け方での対立
遺産の大部分がご実家などの不動産である場合に起こりがちな対立です。
「自分が住み続けたい」「売却して現金で分けたい」といった意見の食い違いや、その不動産を「いくらと評価するのか」という評価額での争いです。
原因4:過去からの感情的な対立
これが最も根深く、解決を難しくする原因です。
相続問題は、それまで心の奥にしまっていた長年の兄弟間の不満や確執が、一気に噴出するきっかけになることが少なくありません。
「いつも長男ばかりが優遇されていた」といった感情が、話し合いを妨げてしまいます。
円満解決に向けた5つの対処法
感情的になってしまっては、まとまる話もまとまりません。
以下のステップで、冷静に対処していくことをお勧めします。
対処法1:一旦、冷静になる時間をおく(クーリングオフ)
話し合いがヒートアップしてしまったら、一度その場を収め、「また後日、改めて話し合おう」と冷却期間を設けることが賢明です。感情的な状態では、お互いに譲歩することはできません。
対処法2:相続財産と相続人を正確に再確認する
対立の原因が、財産の情報や相続人の範囲に関する誤解から生じていることもあります。専門家が作成した「相続関係説明図」や「財産目録」など、客観的な資料を全員で共有し、議論の前提となる事実認識を合わせましょう。
対処法3:お互いの「本当の想い」に耳を傾ける
「お金が欲しい」という主張の裏には、「自分のこれまでの貢献を認めてほしい」「将来の生活が不安だ」といった、本当の想いが隠れていることがございます。相手の主張を正面から否定するのではなく、「なぜ、そう思うのか」という背景に、辛抱強く耳を傾ける姿勢が、解決の糸口になることがあります。
対処法4:柔軟な分割方法を検討する
遺産の分け方は、単純に現金で分けるだけではありません。
- 代償分割:長男が実家を相続する代わりに、他の兄弟へ相応の現金を支払う方法。
- 換価分割:不動産を売却して現金に変え、それを相続分に応じて分ける方法。
 など、様々な方法があります。専門家を交え、ご自身のケースで最も良い方法がないか検討してみましょう。
対処法5:中立な第三者である専門家を間に入れる
当事者同士での話し合いが限界に達したら、家庭裁判所の「遺産分割調停」という手続きを利用する方法があります。
調停は、裁判官と民間の調停委員が中立な立場で間に入り、お互いの意見を聞きながら、話し合いによる合意(解決)を目指す手続きです。裁判のように勝ち負けを決める場ではないため、比較的円満な解決が期待できます。
まとめ:家族の絆を壊さないために、早めの相談を
遺産分割協議は、ご家族にとって大きな試練の時です。しかし、こじれてしまった糸も、一つひとつ丁寧に解きほぐしていけば、きっと解決の道は見つかります。何よりも大切なのは、この相続をきっかけに、かけがえのないご家族の絆が壊れてしまわないことです。
しかし、当事者同士だけでは、感情的なしこりもあって、なかなか冷静な話し合いは難しいものです。
家庭裁判所に持ち込む前に、まずは私たち「つなぐ山形相続センター」のような相続の専門家にご相談ください。私たちが中立な立場で皆様の間に入り、それぞれの想いを整理し、法律や税務の観点から客観的なアドバイスをさせていただくことで、感情的にならずに済む「話し合いの土台」を整えることができます。
「少し、話を聞いてほしい」
その一言から、円満な解決への道は拓けます。どうぞお一人で抱え込まず、私たちにお聞かせください。




コメント