失敗しない遺言書の書き方|自筆証-書遺言と公正証書遺言、あなたに合うのはどっち?

はじめに:あなたの「想い」を、未来へつなぐために
ご自身の最後の想いを、そして大切なご家族へのメッセージを、法的な効力を持つ「形」として遺す『遺言書』。
その作成を考え始めたあなたのそのお気持ちは、ご家族への深い愛情の証でございます。
しかし、いざ書こうと思っても、「遺言書には種類があるらしいけど、何が違うの?」「自分で書けばいいのか、それとも専門家に頼むべきか?」と、多くの疑問が湧いてくることと存じます。
遺言書の作成で最も大切なのは、あなたの想いが、確実に、そしてご家族の負担にならない形で、実現されることです。
この記事では、遺言書の代表的な作成方法である「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つを徹底比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説することで、「あなたに本当に合うのはどちらなのか」を見つけるお手伝いをいたします。
【一目で比較】自筆証書遺言 vs 公正証書遺言
まずは、2つの遺言書の特徴を、簡単な比較表で見てみましょう。
| 比較項目 | 自筆証書遺言(自分で書く) | 公正証書遺言(専門家と作る) | 
| 手軽さ | ◎ いつでも、どこでも書ける | △ 公証役場との調整が必要 | 
| 費用 | ◎ ほぼ0円(紙とペン代のみ) | △ 数万円~(財産額による) | 
| 法的な確実性 | △ 要件不備で無効になるリスクあり | ◎ 専門家が作成するため、ほぼゼロ | 
| 紛失・改ざんリスク | △ 自宅保管だとリスクあり | ◎ 原本を公証役場が保管 | 
| 亡くなった後の手続き | 原則、家庭裁判所の「検認」が必要 | 検認は一切不要 | 
| ご家族の負担 | 大きい | 小さい | 
【手軽さNo.1】自筆証書遺言とは?
ご自身で、遺言書の全文・日付・氏名を手書きし、押印して作成する遺言書です。
メリット
- 費用がかからない:紙とペンさえあれば、費用はほとんどかかりません。
- いつでも作成・修正できる:思い立った時に、誰にも知られずに作成し、書き直すことも自由です。
デメリット
- 要件不備で「無効」になるリスク:法律で定められた形式(全文自筆、日付、署名、押印)を一つでも欠くと、その遺言書は法的に無効になってしまいます。
- 紛失・隠匿・改ざんのリスク:自宅で保管していると、紛失したり、相続人の誰かに発見され、自分に不都合な内容であった場合に隠されたり、書き換えられたりする危険性があります。
- 家庭裁判所の「検認」が必要:亡くなられた後、ご家族は遺言書を家庭裁判所に提出し、「検認」という手続きを経なければなりません。これには1~2ヶ月の時間がかかり、戸籍謄本の収集など、ご家族に大きな手間と負担をかけてしまいます。
【改善策】法務局の保管制度
このデメリットを一部解消するため、「自筆証書遺言書保管制度」ができました。作成した遺言書を法務局に預けることで、紛失・改ざんのリスクがなくなり、面倒な「検認」も不要になります。ただし、遺言書の内容が法的に有効かどうか(財産の記載が正確かなど)まではチェックしてくれない点には注意が必要です。
【確実性・安心感No.1】公正証書遺言とは?
公証役場へ出向き、法律の専門家である「公証人」に、ご自身の伝えたい内容を元に作成してもらう、最も確実な遺言書です。
メリット
- 法的にほぼ100%有効:専門家である公証人が作成するため、形式不備で無効になる心配はまずありません。内容についても、法的に実現可能な形で整理してくれます。
- 紛失・改ざ念のリスクがゼロ:作成された遺言書の原本は、公証役場で厳重に保管されます。
- 家庭裁判所の「検認」が不要:これが最大のメリットの一つです。亡くなられた後、ご家族はすぐにこの遺言書を使って、預貯金の解約や不動産の名義変更などの相続手続きに入ることができます。ご家族への負担を最小限にできる、まさに「最後の思いやり」と言えるでしょう。
デメリット
- 費用がかかる:財産の価額に応じた公証人の手数料が必要です(一般的なご家庭で5万円~15万円程度が目安です)。
- 手間と時間がかかる:公証人との打ち合わせや、戸籍謄本などの必要書類の準備が必要です。また、作成時には2名の証人の立会いも求められます。
結論:あなたの状況や想いに合うのは、どちらの遺言書?
「自筆証書遺言」を検討しても良い方
- 財産の種類が非常に少ない(例:預貯金のみなど)
- 相続人同士の関係が極めて円満で、争いの可能性が全くない
- 必ず「法務局の保管制度」を利用する
「公正証書遺言」を強くお勧めする方
- ご自身の想いを、最も確実な形で遺したいと願うすべての方
- 不動産や株式など、財産の種類が多い、または評価が複雑
- 相続人同士の関係に、少しでも懸念がある
- 特定の相続人に多く財産を遺したいなど、法定相続分とは違う分け方をしたい
- 残されたご家族に、手続きで余計な手間や負担をかけさせたくないと考えている方
まとめ:遺言書は、あなたからご家族への最後の贈り物
遺言書は、単なる財産の分배指示書ではありません。それは、あなたがご家族をどれだけ大切に想っているかを伝える、最後のラブレターであり、ご家族を未来の争いから守るための、最高の贈り物です。
手軽さも魅力ですが、その手軽さが、かえって将来ご家族を困らせてしまう可能性もございます。
どちらの方式を選ぶにせよ、大切なのは、ご自身の想いを法的に有効な形で、きちんと書き記すことです。
私たち「つなぐ山形相続センター」は、まず皆様の「想い」をじっくりとお伺いすることから始めます。その上で、自筆証書遺言の書き方のご相談から、公正証書遺言を作成する場合の文案作成、公証役場との調整、証人の手配まで、あなたの最後の「想い」を最も安心できる形で遺すお手伝いを、全面的にサポートいたします。
どうぞお気軽に、私たちの無料相談をご利用ください。




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